『姑獲鳥(うぶめ)の夏』京極夏彦 著
コミカライズ版。
📚️✒️ 志水アキ 作画
よくぞ漫画化して下さいました!
京極夏彦氏の本は、当時からいつも本屋で平積みされていたし、気にはなっていたけれど、嵌まると留め処なくなるような気がして保留にしておいたのだった。
そうしているうちに月日は流れ、いつしか文庫本を読むという習慣がしんどくなって来てしまっていた。
集中力が続かない。
図書館で「本の朗読CD」を借りて、ながら試聴をするのが本当に重宝だと思えるようになって来た。
そこでこの漫画化版は、本当にありがたかった。
ものすごく上手くて、美しい作画。
志水アキ氏の作画は、本当に素晴らしくて、京極夏彦氏の世界を見事に視覚化して下さっている。
『姑獲鳥(うぶめ)の夏』
(1994年の京極夏彦氏のデビュー作。)
時は昭和27年夏。
久遠寺医院の娘には、あり得ない怪奇な噂があったー。
中禅寺 秋彦(京極夏彦氏)の、哲学と博識の深さには本当に感心する。
TVで「シャーロック・ホームズ」を観ていた私は、この中禅寺 秋彦のセリフを、TVのホームズの声優の声で読んでしまっていた。
読後の感想は…
言葉が出ない。
中国の悪鬼「姑獲鳥(こかくちょう)」の伝承と、お産で亡くなった女の無念を形にしたウブメ。
ふたつは混じりあって、やがて怪奇へといざなっていく。
読み返してみて、関口 巽が「久遠寺涼子」に最初に会った時、涼子の裾に血が垂れていたのは、ウブメが下半身に血を流している絵のイメージと重ねてあるんだな、と気が付いた。
物語は複雑で、私は何度も後返って読んでみたけれど難解だった😳
冷静かつ合理的な、中禅寺 秋彦らが事件の“幻想”という憑き物を落として行くが、読んでいた私は、すっかり知らず知らずに「京極堂」の古本屋に迷い込んでいるような気がして来た。
優しい“涼子さん”の笑みが悲しいですね…。
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